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口五郎先生は、その65年に亙る生涯の間、たぐい稀な芸と人格で私たち後進を導いてくださいました。先生は東京芸術大学尺八科の初代教授に就任され、ま
た、人間国宝に認定されるなど、邦楽界においてその演奏家・教育者として著しい業績をおさめられたことは万人の知るところです。さらに、アメリカ始め世界
各国に赴いて日本音楽を紹介され、尺八の国際的普及にもおおきく貢献されました。 数々の名演奏と暖かい人柄の思い出を残された先生は、今、惑星探査機ボイジャーU号に乗り、『巣鶴鈴慕』の曲とともに、宇宙かなたを旅しつづけていると私たちは信じています。 |
| 山口五郎先生 年譜 | |||
| 昭和8年 | 2月26日 山口四郎の五男として東京、本郷に生まれる。 | ||
| 11歳より琴古流尺八を父、山口四郎に師事。 | |||
| 13歳 初舞台。 | |||
| 14歳 NHKより初放送。 | |||
| 昭和31年 | NHK邦楽技能者育成会第2期卒業。 | ||
| 38年 | 琴古流竹盟社を継承。 | ||
| 41年 | 皇后陛下還暦記念「桃華楽堂」落成の折り、御前演奏の栄に浴す。 | ||
| 42年 | 米国コネチカット州ウエスリアン大学より客員教授として招聘される。 夫人で山田流筝曲家の山口保寿美師と共に当地に赴き、1年間日本音楽を指導。 |
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| 43年 | フランスに於いて開催の「国際音楽教育会議」に使節として派遣される。 | ||
| 45年 | 外務省より文化使節として米国南部及び中米諸国に派遣される。 | ||
| 46年 | 第1回モービル音楽賞を受賞。 | ||
| 47年 | 第一回リサイタル開催 | ||
| 48年 | 第二回リサイタル開催 | ||
| 49年 | 第三回リサイタル開催。 この成果に対して、第29回文化庁芸術祭大賞を受賞。 |
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| 50年 | 竹盟社竹鈴会主催の会の演奏「鹿の遠音」に対して
大阪文化祭賞受賞。 共演者は松村蓬盟師。 |
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| 51年 | 西ドイツ及びスイスにおいて開催の「第12回国際音楽教育会議」に
使節として 派遣される。 |
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| 52年 | 東京芸術大学音楽科に尺八科が新設され、講師に任命される。 | ||
| 52年 | 米国が宇宙人への贈り物として打ち上げた惑星探査機ボイジャーU号
に地球の 音楽の代表として先生演奏の琴古流尺八本曲「巣鶴鈴慕」が選ばれて純金のレ コードに録音され搭載され、現在も飛行中。 |
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| 53年 | 第33回文化庁芸術祭に於いて日本放送協会のラジオ音楽・『現代鈴慕』(山本邦山師 と合作)。に対し優秀賞(放送部門)を受賞。 |
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| 54年 | NHK文化センター尺八科講師。 | ||
| 55年 | 国際交流資金の自主企画により、邦楽使節として、西ドイツ・フランス・イギリス・ オーストリア・スイス等各国に派遣される。また、西ドイツ放送局・バイエルン放送局・ ケルン放送局等で保存録音する。 |
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| 57年 | NHK、テレビ教育講座「尺八のおけいこ」の講師を1年間担当。 | ||
| 57年 | 第37回文化庁芸術祭に於いて優秀賞を受賞。 | ||
| 58年 | オランダ・西ドイツ・イタリア・フランス・イギリス・スイス各国が主催の日本芸術祭に 招聘される。 |
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| 59年 | 米国オレゴン州において開催の「国際音楽会議」に使節として派遣される。 | ||
| 59年 | オーストリア、リンツに於けるブルックナー音楽祭に出演。 | ||
| 59年 | ソニーレコードより「山口五郎琴古流本曲全集」を完成する。 | ||
| 60年 | NHKカセット「山口五郎作品集」を収録す。 | ||
| 61年 | 米国ニューヨークにおける「自由の女神百年祭」に出演。 | ||
| 62年 | 東京芸術大学教授に任命される。 | ||
| 62年 | 米国コネチカット州ウエスリアン大学尺八科設立20周年にあたり、ウエスリアン大学・ ボストン美術館・ニューヨークに於いて演奏する。 |
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| 平成 3年 | 「山口五郎琴古流尺八指南」(潟rクターエンタテインメント)を完成する。 | ||
| 4年 | 重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受ける。邦楽界で最年少。 | ||
| 5年 | 日印音楽交流使節として、デリー・マドラス・ボンベイに於いて日本音楽紹介の使命を 果たす。 |
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| 7年 | 日本芸術院賞を受賞。 | ||
| 8年 | 紫綬褒章を受賞。 | ||
| 11年 | 東京芸術大学教授。 | ||
| 社団法人日本三曲協会副会長。 | |||
| 琴古流尺八協会理事長。 | |||
| 財団法人ビクター伝統文化振興財団理事。 | |||
| 11年 | 1月3日 死去。 | ||
| 同日 正五位に叙される。勲四等旭日小授章受章。 | |||